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新型コロナ:世界経済「大きな下方リスク」 G20、財政出動を維持 - 日本経済新聞

サウジアラビアの世界遺産の壁面に映し出されたG20各国・地域の首脳=ロイター

サウジアラビアの世界遺産の壁面に映し出されたG20各国・地域の首脳=ロイター

20カ国・地域(G20)首脳会議は22日、世界経済が「感染拡大などのより大きな下方リスクにさらされている」とする首脳宣言をまとめた。雇用と所得を守るために「必要とされる間はあらゆる利用可能な政策手段」を用いるとし、膨らんだ財政の縮小を急がない姿勢を明確にした。コロナ禍後の成長に向けたインフラ投資などをどう進めるかが今後の焦点となる。

部分的に回復しているが、ばらつきがあり、不確実性が高い――。首脳宣言では、現状の景気に対する各国首脳の強い危機感が示された。

国際通貨基金(IMF)は10月の世界経済見通しで、2020年を実質で4.4%のマイナス成長と予測したが、その後、欧米で感染再拡大が加速。歯止めをかけるための外出制限や店舗の営業規制が広がっている。

欧州連合(EU)は10~12月期のユーロ圏の成長率が前期比でマイナス0.1%と、再びマイナス圏に戻るとの見通しを示している。

コロナ対策の財政出動などの規模は、G20を中心に世界で約12兆ドル(約1250兆円)に達する。米国が3兆ドル、日本が1.7兆ドル、ドイツが1.5兆ドルと主に先進国が大胆な財政支出で景気の底割れを防いできた。

「回復が確かになるまで経済支援策を維持する」(欧州委員会のフォンデアライエン委員長)。G20は財政政策が途切れて経済に悪影響が広がる「財政の崖」を避けるため、財政出動の縮小を急がず、いざとなれば追加の財政支出もいとわない決意を示した。

問題はこの先の一手をどう描くかだ。IMFは財政出動の余地が大きい国を中心に足並みをそろえてインフラ投資を拡大すれば、世界経済は25年までに2%近く押し上げられると主張する。気候変動対策やデジタル化などに各国がどれだけ投資し、雇用や所得の落ち込みを抑えられるかが焦点になる。

ただ、具体的な財政の規模や中身は首脳宣言に盛り込まれなかった。これまでのコロナ対策で各国の財政は急速に悪化しており、G20としてより積極的な財政出動を促すことには異論があった。民間の知恵や資金力を引き出す「賢い支出」が各国共通の課題となる。

貿易については「多角的貿易体制を支持することは、今やかつてなく重要」と明記した。自由、公正で透明性の高い貿易・投資環境をめざすとした。自国第一主義が台頭し、ルールをないがしろにする動きもみられるなかで「開かれた市場」を守っていくことでG20首脳は何とか一致した。

コロナ禍で苦境に立つ途上国債務の返済猶予も議論した。73の途上国の公的債務の返済猶予を21年半ばまで半年延長するという10月のG20財務相会合での決定を、首脳会議でも追認した。

ただ、途上国の財政もコロナ禍で急速に悪化しており、半年の延長では「十分ではない」(ドイツ政府関係者)との指摘が多い。猶予期間のさらなる延長や対象とする国の拡大などが今後の検討課題だ。多額の債権を持つ中国を巻き込みつつ、いかに合意形成を進めるかが求められている。

(ベルリン=石川潤、高見浩輔)

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